タイヤとホイールの説明

ハイフローテーションタイヤやLT規格サイズのタイヤに対する空気圧の考え方

ハイフローテーションタイヤ
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ハイフローテーションタイヤとは?

ハイフローテーションタイヤとは【37×12.50R20】というようなサイズ表記で示されるタイヤ全般を指します。大型の4×4車両や、4×4競技用タイヤに多く設定があります。

ハイフローテーションタイヤサイズ

もともとはアメリカで生まれた規格で、砂地や泥濘地を走破する際に必要な【フローテーション性能】に優れたタイヤです。

フローテーションとは【浮力】と訳されます。砂地などでタイヤが進行方向に回転した場合、通常パターンのタイヤだと砂の中に埋まっていきます。フローテーション性能に優れたパターンのタイヤだと砂や泥を掻き分ける力が強い為、浮き上がろうとする方向に力が生じます。

このメカニズムは水泳のクロールを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。手が下方に水をかく事で浮く方向に、続いて後方にかく事で推進力となります。

結果として浮き上がるというよりは、沈み込まずに砂や泥の中で走行する事ができます。

フローテーション性能が高いのでハイフローテーションタイヤ(High Flotation Tire)と呼ばれています。

LT規格サイズのタイヤとは?

サイズの先頭や末尾にLTの文字が表記されているサイズです。(ライトトラックLight Truckを略した記号です)

ピックアップトラック

例えばヨコハマタイヤのジオランダーA/T G015というブランドの265/65R17というサイズを確認してみましょう。

このサイズは【265/65R17 112H】という通常のサイズと【LT265/65R17 120/117R E】というLT規格サイズの2種類がラインナップされています。実寸値ではLT規格サイズの直径がほんの少し大きくなります。

純正サイズが265/65R17を装着していた場合、通常サイズを装着しても、LT規格サイズを装着しても車検は問題なく通ります。但し、空気圧に関しては考え方が全く異なります。

メーカーサイトやカタログを確認すると【ハイフローテーションタイヤ・LT規格のサイズについては空気圧、負荷能力の設定が異なります。空気圧については購入した販売店に確認をお願いいたします。】 との記載があります。カタログ等に具体的な空気圧の記載があれば簡単に空気圧の設定が可能なのですが、車種やタイヤの構造により空気圧の設定が異なる為、現実的には表記が困難だと思われます。

但し、ヨコハマタイヤのサイトには簡易的な空気圧換算表が掲載されています。

https://www.y-yokohama.com/product/tire/faq-24/(クリックで別サイトが開きます)

なぜ空気圧が通常の規格と異なるのか?

通常サイズとLT規格サイズではタイヤの構造が異なるからです。タイヤの負荷能力とはカーカスと呼ばれるタイヤの骨格に空気圧によって発生した張力と、空気ボリュームと空気圧によって発生する空気ばねの総和です。

LT規格サイズのタイヤは、このカーカスの構造が乗用車用規格のタイヤに比べて頑丈に出来ています。

一概には言えませんがカーカスを構成している部材の一つであるプライ(ナイロン等で出来ているコード層)の枚数が多い、あるいはコード自体が太い、コードの材質が違う等の差があります。

頑丈に出来ている分、カーカスに必要な張力を発生させるには、高い空気圧が必要となります。

ちなみに乗用車用のタイヤのプライは原則的に1枚です。ハイグレードなタイヤになるとサイドウォール(タイヤの側面)の部分を2枚にしている(ハイターンナップという技術)構造もあります。

また、ハイフローテーションタイヤ・LT規格サイズの中にはロードレンジ(Load Range)という概念があり、アルファベットによりタイヤの強度を区分けしています。

一般的には

  • ロードレンジCが商用車用タイヤの6PR相当
  • ロードレンジDが商用車用タイヤの8PR相当
  • ロードレンジEがトラック用タイヤの10PR相当
  • ロードレンジFがトラック用タイヤの12PR相当

とされており、重量に対する負荷能力の高さを示しています。

ロードレンジCの場合はプライと呼ばれるコード層が2層ロードレンジD・Eの場合はプライが3層の構造が多いのですが、強い構造のカーカスに必要な張力を発生させるには高い空気圧が必要となります。

ロードレンジDの構造
LR-D,EサイズのLRとはLoad Range(ロードレンジ)の略です。

それぞれの最高充填空気圧は一部サイズの例外を除き

  • ロードレンジC350Kpa
  • ロードレンジD450Kpa
  • ロードレンジE550Kpa
  • ロードレンジF650Kpa

定められています。

また、最低充填空気圧はハイフローテーションサイズの場合は170Kpa、LT規格サイズの場合には250Kpaと定められています。

ハイフローテーションサイズ・LT規格サイズに対する適正な空気圧を割り出すには、これらの事を理解している必要があります。

具体的な例として、先程の【LT265/65R17 120/117R E】というサイズを装着した場合の空気圧を考慮してみたいと思います。

ロードレンジがEなのでプライは3層です。

純正サイズが【265/65R17 112H】で純正空気圧が200Kpaの場合の一輪あたりの負荷能力は970Kgとなります。タイヤメーカーのカタログ等に掲載されているJATMA/LI・空気圧・負荷能力対応表(クリックで別サイトが開きます)にて確認可能です。

次にヨコハマのサイトによりLT265/65R17 120/117を確認すると350Kpaで1,030Kgの負荷能力が確認でき、1輪あたりの負荷能力970Kgをクリアする事ができます。

【LT265/65R17 120/117R E】というサイズを装着し、純正タイヤと同等の負荷能力、安全性を確保するのには340Kpa~350Kpaの空気圧が適正となります。

適正空気圧以下での走行を行った場合には、タイヤの偏摩耗・異常摩耗、ハンドルが重い、走行音の増加、制動距離が長くなる等の不具合が予想されますので、ご注意ください。

ヨコハマタイヤのジオランダーシリーズ、トーヨータイヤのオープンカントリーシリーズ、BFグッドリッチのオールテレーン・マッドテレーンにはハイフローテーションサイズやLT規格サイズのラインナップが豊富ですが、空気圧には注意が必要です。車種、純正装着サイズによって適正な空気圧の算出が可能ですので、興味のある方は、お気軽にお尋ねください。

ジオランダー X-MT
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