タイヤの説明

転がり抵抗

転がり抵抗とはタイヤが転がる時に進行方向とは逆向きに生ずる抵抗力です。主な要因はタイヤの変形によるエネルギー損失と空気抵抗によるものです。タイヤと路面との間に発生する摩擦も、わずかではありますが影響があります。

転がり抵抗の一番大きな要因はタイヤの変形によるもので、タイヤが路面に接地してたわみ続ける事(繰り返し変形)によりゴムの内部でエネルギー損失が発生します
繰り返し変形によるエネルギー損失は、ゴムの分子レベルにおける熱の発生(分子振動による発熱)を指しています。

分子振動による発熱

簡単な実験でゴムの発熱を体感する事が出来ます。風船を膨らませない状態で唇につけ、そのままの状態で左右に引き延ばすと唇に熱を感じます。この熱がゴムの分子振動による発熱です。引き延ばしをやめると分子振動が収まり、熱の発生はなくなります。

分子間で発生する熱はタイヤが仕事している状態(駆動初期・制動時・コーナリング時)ではグリップ力として使用されています。しかし、グリップ力として使用されている以上に発生してしまう余分な熱がエネルギー損失となり、転がり抵抗の主因となってしまいます。

単純には発熱を抑えたゴムでタイヤを作れば転がり抵抗性能を高くする事が出来ますが、相反関係にあるウェットグリップ性能が低下してしまいます。現在ではグリップ力として使用される以上の余分な熱のみを抑制し、ウェットグリップを低下させないゴムがタイヤに使用されています。

熱を制御する事により、エンジンから伝わるパワーロスが減り結果として燃費が向上するのです。
転がり抵抗の少ないタイヤを装着すると、坂道の下りではほとんどアクセルを踏まずにタイヤが転がっていく事が実感できますよ!

ゴムによるエネルギー損失が起きる要因はゴムの性質が「粘弾性体」である為に引き起こされます。

専門用語の連続になりますが、転がり抵抗=ヒステリシスロス=Tanδ(タンジェントデルタ 粘性/弾性比)となります。
Tanδは電気業界の方にはおなじみではないでしょうか。 更に興味のある方は【ヒステリシスロス】【貯蔵弾性率】で検索してみてください。

タイヤの主要部材であるゴムは「粘弾性体」

横浜ゴムさんはチームヨコハマEVチャレンジを掲げ市販用ブルーアースAを装着してパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにオリジナルEVカーで出場しています。

EV(電気自動車)のレースでは常に強力なグリップ力が発生するタイヤより、必要な時にだけグリップするタイヤが必要となるそうです。市販用のブルーアースAや後継商品のブルーアースGTは電気自動車やハイブリッドカーにぴったりですね!

また、転がり抵抗性能の優れたタイヤはシビアコンディションでの運転時における燃費には、とても有効です。シビアコンディションとはストップアンドゴーの多い市街地走行や、十分な暖気運転が出来ずに走行する状態を指します。

一定の速度を保てる高速道路や下りの坂道が含まれる山道よりも、信号で止まる・発進を繰り返す市街地走行の方が燃費は悪化します。更に自動車のエンジンは十分に暖まっていない状態では、燃料の噴射が通常時よりも濃くなる仕組みになっています。

最終的に燃費は運転の方法やエンジンの暖まり具合により左右されますが、転がり抵抗性能の高いタイヤはどんな時でも燃費貢献をもたらします。